工場の生産性向上を目指す上で、無視できない課題の一つに「浮上油」の問題があります。 油の混入は、製品品質の低下や環境汚染、さらには高額なメンテナンス費用につながる可能性も秘めています。
今回は、工場における浮上油の発生原因、除去によるメリット、そして効果的な除去方法について解説します。 様々な回収装置の種類や特徴、選び方のポイントもご紹介しますので、工場の課題解決にお役立てください。
加工工程では、様々な経路から油が混入します。
例えば、前工程で油性加工液を使用していた場合、その油分がワークに付着し、次の工程の洗浄液に混入する可能性があります。
また、ワーク自体に防錆油が付着している場合も、洗浄工程で油が混入する原因となります。
さらに、機械の摺動部からの油漏れや、作動油の飛沫なども、浮上油の発生源となります。
これらの油分は、洗浄液やクーラントに混ざり込み、最終的にタンクに蓄積されます。
洗浄工程においても、油の混入は避けられません。
洗浄液自体に油分が含まれている場合や、洗浄槽の清掃が不十分な場合など、様々な要因が考えられます。
特に、洗浄液の循環システムに問題がある場合、油分が循環し続け、洗浄液全体の油分濃度が高まる可能性があります。
また、洗浄後の乾燥工程で、油分がワークに再付着するケースもあります。
浮上油を放置すると、様々な悪影響が生じます。
まず、洗浄液やクーラントの性能が低下し、加工精度や製品品質に悪影響を及ぼします。
油分は、クーラントの冷却能力を低下させたり、切削工具の寿命を縮めたりする可能性があります。
また、油分の酸化や腐敗によって、悪臭が発生し、作業環境を悪化させます。
さらに、油分が機械設備に付着し、故障の原因となることもあります。
放置することで、廃棄処理費用も増加するため、コスト面でも大きな負担となります。
浮上油を除去することで、洗浄液やクーラントの性能を維持することができます。
油分が混入した洗浄液は、洗浄能力が低下し、ワークの洗浄不良につながります。
また、油分はクーラントの冷却能力を低下させ、機械の故障を招く可能性があります。
浮上油を除去することで、これらの問題を防ぎ、洗浄液やクーラント本来の性能を維持することができます。
これにより、加工精度や製品品質の向上、機械の寿命延長に繋がります。
浮上油の除去は、作業環境の改善にも大きく貢献します。
油分による悪臭や油汚れは、作業者の健康を害する可能性があります。
また、油汚れは、作業効率の低下や事故発生のリスクを高める可能性もあります。
浮上油を除去することで、これらの問題を解消し、快適で安全な作業環境を実現することができます。
さらに、洗浄液やクーラントの交換頻度を減らすことや、機械のメンテナンス費用を削減できるため、コスト削減にも繋がります。
浮上油は、機械設備の寿命を縮める原因の一つです。
油分は、機械内部に付着し、摩耗や腐食を促進します。
また、油分が詰まることで、機械の動作不良を引き起こす可能性もあります。
浮上油を除去することで、これらの問題を防ぎ、機械設備の寿命を延ばすことができます。
長寿命化は、設備投資費用を削減し、工場の生産性を向上させる上で重要な要素です。
オイルスキマーは、浮上油を回収する装置として広く利用されています。
大きく分けて、ベルト式、円盤式、スクリュー式、フロート式などがあります。
ベルト式は、回転するベルトに油を付着させて回収する方式で、安価で導入しやすいのが特徴です。
円盤式は、回転する円盤に油を付着させて回収する方式で、ベルト式よりも耐久性があります。
スクリュー式は、らせん状のスクリューで油を掻き上げて回収する方式で、回収能力が高いのが特徴です。
フロート式は、液面に浮いた油を吸い上げる方式で、コンパクトで設置場所を選ばないのが特徴です。
それぞれの方式にはメリット・デメリットがあるので、工場の状況に合わせて適切なタイプを選択することが重要です。
例えば、油の量や粘度、タンクの形状、設置スペースなどを考慮する必要があります。
フロート方式は、液面に浮いた油を自動的に回収するシステムです。
フロートと呼ばれる浮き具が液面に浮き、油を吸い上げて分離機に送ります。
この方式は、コンパクトで設置が容易なため、設置スペースの限られた工場でも導入しやすいです。
一方、遠心分離機は、回収した液体全体を高速回転させ、遠心力によって油と水を分離する装置です。
この方式は、微細な油滴まで分離できるため、高精度な油水分離が求められる場合に適しています。
ただし、装置が大型化しやすく、初期投資費用が高額になる傾向があります。
適切な回収装置を選ぶためには、以下の点を考慮する必要があります。
まず、工場で発生する浮上油の量や種類を把握することが重要です。
油の量が多い場合は、回収能力の高い装置が必要となります。
また、油の種類によっては、特定の回収方式が適している場合があります。
次に、設置スペースや予算も考慮する必要があります。
コンパクトな装置は設置スペースが限られている工場に適していますが、回収能力が低い場合があります。
予算は、装置の購入費用だけでなく、メンテナンス費用なども考慮する必要があります。
さらに、メンテナンスの容易さも重要なポイントです。
メンテナンスが容易な装置であれば、ランニングコストを抑えることができます。
本記事では、工場における浮上油の発生原因、除去によるメリット、そして効果的な除去方法について解説しました。
浮上油の放置は、製品品質の低下、作業環境の悪化、高額なメンテナンス費用など、様々な問題を引き起こします。
適切な浮上油除去対策を行うことで、これらの問題を解決し、工場の生産性向上に貢献できます。
オイルスキマー、フロート方式、遠心分離機など、様々な回収装置がありますので、工場の状況に合わせて最適な装置を選択することが重要です。
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