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浮上油回収装置フロートの仕組みと選び方:油回収を効率化するための決定版

工場やプラントで油回収の効率化に関心があり、装置の選び方や仕組みについて詳しく知りたいと考えている現場責任者や管理者の方もいらっしゃるでしょう。
日々発生する油の回収作業の効率化は、環境負荷の低減だけでなく、コスト削減や安全性の向上にもつながる重要な課題です。

本記事では、油回収装置の中でも特に注目されている「浮上油回収装置フロート」に焦点を当て、その仕組み、メリット・デメリット、選び方、そして導入事例まで詳しく解説していきます。

この記事を読めば、フロート式の仕組みを理解し、自社のニーズに最適な装置を選定することで、油回収の効率化を実現するための第一歩を踏み出せるはずです。

□浮上油回収装置フロートの仕組み

浮上油回収装置フロートは、その名の通り、油を回収する装置にフロート(浮き)を取り付けたものです。
フロートは液面に浮かび、油が水面に浮上すると、フロートが油に追従して移動し、吸込口で油を回収します。

フロート式は、他の油回収方式と比べて、構造がシンプルでメンテナンスが容易なことが大きな特徴です。
そのため、導入や運用がしやすいという点で多くの現場から支持されています。

では、具体的にフロート式がどのように油を回収するのか、図解を用いて詳しく説明していきましょう。

1: 油が水面に浮上
油は水より比重が軽いため、水面に浮上してきます。

2: フロートが油に追従
フロートは水面に浮かんでいるため、油が水面に浮上すると、フロートが油に追従して移動します。

3: 吸込口で油を回収
フロートに設置された吸込口が油を吸い込み、油回収装置に送られます。

4: 油水分離装置へ移送
油回収装置で回収された油は、油水分離装置へ移送され、油と水が分離されます。

5: 油は回収、水は排水
油は回収され、水は排水されます。
フロート式は、このようにシンプルな仕組みで油を回収することができるのです。

□浮上油回収装置フロートのメリットとデメリット

フロート式の仕組みを理解したところで、次はメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

1: メリット

・導入しやすい
フロート式は構造がシンプルで、設置や操作が容易です。
そのため、専門知識や技術がなくても導入しやすく、初心者の方でも安心して使用できます。

・メンテナンスが容易
フロート式は構造がシンプルで、可動部が少ないため、メンテナンスが容易です。
定期的な清掃や点検も、特別な技術や知識は不要です。

・低コスト
フロート式は、他の油回収方式と比べて、初期費用が低く抑えられる傾向があります。
また、メンテナンス費用も安く、ランニングコストを抑えることができます。

・安全性が高い
フロート式は、油回収装置が液面に浮かんでいるため、油回収中に装置が沈むといった危険性がありません。
また、可動部が少なく、安全性の高い設計がされているため、安心して使用できます。

2: デメリット

・浮上していない油は回収できない
フロート式は、水面に浮上した油のみを回収できます。
そのため、沈殿した油や、乳化して水面に浮上していない油は回収できません。

・流れが速い場所では回収効率が低下
フロート式は、流れが速い場所では、フロートが油に追従しにくくなり、回収効率が低下することがあります。

・回収可能な油の量に限界がある
フロート式は、回収可能な油の量に限界があります。
大量の油を回収する場合には、他の方式を検討する必要があるでしょう。

□浮上油回収装置フロートの選び方と導入事例

フロート式のメリットとデメリットを理解した上で、次はフロート式の選び方について解説していきます。

1: 選び方のポイント

フロート式を選ぶ際には、以下のポイントを考慮する必要があります。

・回収対象となる油の種類
回収対象となる油の種類によって、適切なフロート式が異なります。
例えば、水溶性油の場合には、油水分離性能の高いフロート式を選ぶ必要があります。

・タンクの大きさや形状
タンクの大きさや形状によっても、適切なフロート式が異なります。
小さなタンクには、小型のフロート式が適しています。
一方、大きなタンクには、大型のフロート式や複数台のフロート式を組み合わせる必要があります。

・油の浮上量
油の浮上量によっても、適切なフロート式が異なります。
大量の油が浮上する場合は、回収能力の高いフロート式を選ぶ必要があります。

・設置場所の環境
設置場所の環境によっても、適切なフロート式が異なります。
例えば、屋外に設置する場合は、耐候性に優れたフロート式を選ぶ必要があります。

・予算
フロート式には、様々な価格帯の製品があります。
予算に合わせて、適切なフロート式を選ぶ必要があります。

2: 導入事例

フロート式は、様々な現場で活用されています。
以下に、具体的な導入事例を紹介します。

・集中クーラントピット
集中クーラントピットでは、切削油や研磨油などのクーラント液が使用されます。
クーラント液は、使用していくうちに油分が分離し、水面に浮上してきます。
フロート式は、この浮上油を効率的に回収するために最適な装置です。

・排水処理プラント
排水処理プラントでは、様々な排水が処理されます。
排水の中には、油分が含まれている場合があり、フロート式は、この油分を効率的に回収するために最適な装置です。

・食品工場
食品工場では、油脂や油分を含む排水が発生します。
フロート式は、これらの油分を効率的に回収し、排水処理の負荷を軽減するために最適な装置です。

・機械加工工場
機械加工工場では、切削油や研磨油などの潤滑油が使用されます。
これらの潤滑油は、使用していくうちに油分が分離し、水面に浮上してきます。
フロート式は、この浮上油を効率的に回収するために最適な装置です。

□まとめ

本記事では、浮上油回収装置フロートの仕組み、メリット・デメリット、選び方、そして導入事例について解説しました。
フロート式は、構造がシンプルで、メンテナンスが容易なため、導入や運用がしやすいという点で、多くの現場から支持されています。
しかし、浮上していない油は回収できない、流れが速い場所では回収効率が低下するなどのデメリットもあります。

そのため、フロート式を導入する際には、これらのメリットとデメリットを理解し、自社のニーズに最適な装置を選定することが重要です。
フロート式は、油回収の効率化に貢献する優れた装置です。
本記事を参考にして、自社の油回収に最適なフロート式を選定し、環境負荷の低減、コスト削減、安全性の向上を目指しましょう。