金属加工の現場では、切削油やクーラント液に混入した浮上油の回収が、多くの課題を抱えています。浮上油は液の性能を低下させ、機械の故障や製品品質の低下につながるため、定期的な除去が不可欠です。しかし、この作業は時間と労力を要し、人手不足が深刻な現代においては、作業員の大きな負担となっています。本記事では、浮上油回収の自動化・省人化がもたらすメリットと、具体的な導入方法について詳しく解説します。
金属加工現場では、切削加工や研削加工の際に使用される水溶性切削油やクーラント液に、潤滑油や作動油といった浮上油が混入することがよくあります。これらの浮上油は液の表面に層を形成し、微生物の繁殖を促進して液の腐敗や悪臭の原因となります。また、浮上油が混入した液は潤滑性能や冷却性能が低下し、工具寿命の短縮や加工精度不良を引き起こす可能性があります。従来の浮上油回収は、スキマーや手作業による除去が一般的でしたが、この作業は手間がかかる上に、完全に除去することが難しく、作業員の負担も大きいのが現状です。
浮上油回収を自動化・省人化することで、現場は多くのメリットを享受できます。まず、自動で浮上油を回収することで、常に清潔なクーラント液の状態を保つことができ、液の寿命が大幅に延長されます。これにより、液の交換頻度が減り、廃棄コストの削減にもつながります。さらに、浮上油の混入による機械のトラブルや加工品質の低下を防ぐことで、生産性の向上と製品の安定した品質を確保できます。手作業による負担が軽減されるため、作業員はより付加価値の高い業務に集中することができ、労働環境の改善にも貢献します。人件費の削減や、人手不足に悩む企業にとって、自動化は非常に有効なソリューションです。
浮上油回収を自動化するには、さまざまな方法があります。代表的なシステムとして、切削液タンクに設置するディスク式オイルスキマーやベルト式オイルスキマーが挙げられます。これらは、液面に浮いた油を吸着・回収する装置で、コンパクトなものから大型のものまで、タンクの大きさや油の量に合わせて選べます。また、フロート式オイルスキマーは、水位変動に追従して常に効率良く浮上油を回収できるのが特徴です。
浮上油回収の自動化システムを導入する際には、いくつかの注意点があります。まず、自社の切削油タンクのサイズや形状、浮上油の種類と量を正確に把握することが重要です。これにより、最適なシステムを選定し、最大の効果を得ることができます。また、システムの導入には初期費用がかかりますが、長期的な視点で液の交換コストや人件費の削減効果を考慮すると、費用対効果は非常に高いと言えます。システム導入後も、定期的なメンテナンスやフィルター交換などが必要になる場合があるため、運用コストも事前に確認しておくことが大切です。
SVアルファシリーズの代表例である「SV-アルファMM」では、クーラントタンクの浮上油とスラッジの双方を自動で回収することが可能です。ワゴン台車程度のサイズであり、移動も可能であるため、1台あればあらゆる工作機械へ使用することが可能です。これにより、上記のような問題を解決することができます。
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