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悪臭の要因となるクーラントタンク内のスラッジとは?

悪臭の要因となるクーラントタンク内のスラッジとは?

工場や製造現場で使われるクーラント(切削油、不水溶性クーラント)は、金属加工において摩擦熱の低減、切削抵抗の減少、加工精度の向上などに不可欠です。しかし、このクーラントを貯蔵するタンク内で発生するスラッジは、悪臭の大きな原因となることがあります。

スラッジの正体

クーラントタンク内のスラッジとは、単一の物質ではなく、様々なものが混じり合った複合体です。主な構成要素は以下の通りです。

金属粉・切粉

加工中に発生する金属の微粒子や切粉が、クーラント中に混入し、タンクの底に沈殿したもの。

油分

加工対象物から溶け出した油分、あるいはクーラント自体に含まれる油分が分離・変質したもの。不水溶性クーラントを使用している場合は特に注意が必要です。

微生物・バクテリア

クーラントは水と油、様々な添加剤から構成されており、特に水溶性クーラントはバクテリアや真菌などの微生物が繁殖しやすい環境です。これらの微生物の死骸や代謝物がスラッジの一部となります。

錆・スケール

タンクや配管の腐食によって生じる錆や、水中に含まれるミネラル分が固着したスケールなどもスラッジに含まれることがあります。

これらの物質が混じり合い、粘性のあるヘドロ状の物質としてタンクの底や側面に堆積します。

スラッジが悪臭を放つメカニズム

スラッジが悪臭を放つ主なメカニズムは、スラッジ中に含まれる嫌気性バクテリアの繁殖にあります。

嫌気性バクテリアは酸素がない環境を好み、スラッジの塊の内部やタンクの底に堆積したスラッジの下で活発に活動します。これらのバクテリアは、スラッジ中の有機物(油分、微生物の死骸など)を分解する際に、以下のような悪臭物質を生成します。

硫化水素(H₂S)

腐った卵のような強烈な悪臭を放ちます。特に硫酸還元菌と呼ばれるバクテリアが硫黄化合物から生成します。

アンモニア(NH₃)

 刺激臭があり、尿のような臭いがします。タンパク質などの窒素化合物が分解される際に生成されます。

低級脂肪酸

汗や酸っぱい臭い、不快な刺激臭を放つことがあります。

これらの悪臭物質がクーラント液中に溶け込んだり、空気中に放出されることで、クーラントタンク周辺に不快な臭いが充満する原因となります。

悪臭を防ぐための対策

クーラントタンク内のスラッジによる悪臭を防ぐためには、定期的なメンテナンスと適切な管理が不可欠です。

スラッジの定期的な除去

タンク内のスラッジを定期的に清掃・除去することで、嫌気性バクテリアの繁殖場所をなくします。スクレーパーや吸引装置などを用いて効率的に除去することが重要です。

クーラントの管理

・濃度管理: 水溶性クーラントの場合、適切な濃度を維持することで、バクテリアの繁殖を抑制できます。

pH管理: クーラントのpH値を適切に保つことも重要です。pHが低下するとバクテリアが繁殖しやすくなります。

浮上油の除去: 浮上油はスラッジの原因となるだけでなく、嫌気性環境を作り出すため、スキマーなどで定期的に除去しましょう。

クーラントの交換: 定期的なクーラントの交換も、悪臭対策には有効です。交換時にはタンクの徹底的な清掃も併せて行いましょう。

スラッジ対策は、単に悪臭を防ぐだけでなく、クーラントの寿命を延ばし、加工品質を維持するためにも非常に重要です。適切な管理を行うことで、快適で効率的な作業環境を維持することができます。

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