金属加工工場などで発生する独特の臭いは、切削加工に用いられる切削油(クーラント)が原因となっている可能性があります。この臭いは、作業環境を悪化させるだけでなく、従業員の健康にも影響を及ぼしかねません。この記事では、切削油の臭いの根本的な原因から、効果的な対策方法まで、具体的に解説していきます。快適な職場環境を維持するために、ぜひ参考にしてください。
工場で発生する臭気にはさまざまな原因がありますが、特に金属加工工場などの切削加工現場で問題となるのが、切削油による悪臭です。
金属素材を切削加工する際に、加工精度向上を目的に用いられるのが切削油です。切削油は「クーラント」や「クーラント液」とも呼ばれ、その語源は「クール(冷却作用)」と「ルブリカント(潤滑作用)」を組み合わせた造語とされています。金属を切削する際に発生する熱を抑え、工具と加工物の摩擦を軽減するために、この冷却作用と潤滑作用を持つクーラントが使用されます。
この切削油には、希釈せずに使用する不水溶性切削油と、水で希釈して使用する水溶性切削油の2種類があります。不水溶性切削油は腐敗しにくく潤滑性に優れる反面、引火性があり火災の危険性が伴います。一方、水溶性切削油は引火点がなく冷却性に優れていますが、腐敗しやすく、悪臭の大きな原因となる点が特徴です。
特に梅雨から秋口にかけて気温が上昇すると、水溶性切削油の腐敗が起こりやすくなり、職場に悪臭が発生しやすくなります。
切削油の腐敗により悪臭が発生すると、作業着や体に臭いが染みつき、職場を離れても臭いに悩まされることがあります。また、悪臭は作業への集中力を低下させたり、吐き気などの体調不良を引き起こしたりする可能性もあります。このような労働環境が長期的に続くと、従業員の健康に悪影響が懸念されます。
どのような仕組みで切削油が腐敗し、悪臭が発生するのでしょうか。その原因とメカニズムを見ていきましょう。
水溶性切削油は通常、2~10%程度の濃度に水で希釈して使用します。水は長期間放置すると腐敗しますが、これは水中の消毒作用のある塩素が抜け、微生物が水中に含まれる有機物を栄養源として増殖するためです。微生物は希釈用の水だけでなく、空気中や従業員の衣服・身体、各種添加物など、あらゆる場所に存在しています。これらの微生物が切削油にたどり着き、その中で増殖することで腐敗が進行してしまうのです。
水溶性切削油の腐敗による工場に発生する悪臭を防止するためには、以下のような対策を行う必要があります。
切削油の腐敗や劣化が進むと悪臭が発生しやすくなります。定期的に切削油を新しいものに交換(更新)することで、微生物の増殖を抑制し、悪臭の発生を抑えることができます。交換の目安は、切削油の外観(変色がないか)、pH値(アルカリ性を保っているか)などを日常的に確認し、状態が悪化しているようであれば交換を検討しましょう。特に、pH値が低下して酸性に近づいている場合は、微生物の増殖が進んでいるサインです。
水溶性切削油に混入する浮上油や切粉、研削スラッジは、微生物の栄養源となり、腐敗を加速させる大きな原因となります。これらの異物が混入することで、悪臭の発生だけでなく、切削性能の低下や加工品の品質低下にもつながります。
そのため、混入する油や切粉などを日常的に取り除くことが非常に重要です。オイルスキマーなどの浮上油回収装置や、クーラントに混ざり込んだ油の回収装置、切粉や研削スラッジの回収装置などを導入することで、微生物の栄養源となる物質を取り除き、悪臭の発生を抑制できます。これらの液体浄化装置は、切削油の清浄度を維持し、長期的な悪臭対策に貢献します。
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