工場の生産性を高め、環境問題にも配慮することは、現代の製造業にとって重要な課題です。
特に、切削加工を行う工場では、切削油スラッジの処理が大きな負担となっています。
このスラッジは、放置すると環境汚染や機械トラブルを引き起こす可能性があります。
今回は、切削油スラッジの発生メカニズムから、効果的な回収方法、そして回収によるメリットまでを解説します。
切削油スラッジとは、金属加工時に発生する微細な金属粉や切削油の混合物です。
その種類は、加工する金属の種類、使用する切削油の種類、加工方法などによって様々です。
例えば、アルミ加工ではアルミ粉を多く含むスラッジが発生し、鉄鋼加工では鉄粉を多く含むスラッジが発生します。
また、スラッジは、その粒径によって、粗いスラッジと細かいスラッジに分類することもできます。
粗いスラッジは比較的容易に回収できますが、細かいスラッジはクーラント液中に分散しやすく、回収が困難です。
スラッジは、放置すると様々な問題を引き起こします。
まず、クーラント液の劣化です。
スラッジがクーラント液中に蓄積すると、クーラント液の冷却性能が低下し、加工精度が悪化したり、工具の寿命が短くなったりします。
さらに、スラッジは細菌の繁殖を促進し、悪臭の原因となることもあります。
また、スラッジが機械の配管やポンプを詰まらせることで、機械の故障や生産停止につながる可能性もあります。
さらに、スラッジは環境汚染にもつながります。
適切な処理をせずに廃棄すると、土壌や水質汚染の原因となる可能性があります。
切削油スラッジの回収には、様々な装置が利用できます。
代表的なものとしては、以下のものがあります。
1: 吸引式スラッジ回収装置
タンク底に沈殿したスラッジを吸引して回収する装置です。
比較的安価で導入しやすい反面、細かいスラッジの回収には不向きです。
2: 濾過式スラッジ回収装置
クーラント液を濾過することで、スラッジを分離回収する装置です。
細かいスラッジの回収にも効果的ですが、フィルターの交換が必要となるため、ランニングコストがかかります。
3: マイクロバブル式スラッジ回収装置
微細な気泡(マイクロバブル)を利用してスラッジを浮上させ、回収する装置です。
細かいスラッジの回収にも効果的で、フィルター交換の手間が少ないのが特徴です。
4: 遠心分離式スラッジ回収装置
遠心力を利用してスラッジを分離回収する装置です。
高価ですが、高効率でスラッジを回収できます。
最適なスラッジ回収方法の選定には、以下の点を考慮する必要があります。
1: スラッジの量と種類
発生するスラッジの量や種類によって、適切な回収方法が異なります。
大量のスラッジが発生する場合は、高効率な回収装置が必要となります。
また、細かいスラッジの場合は、濾過式やマイクロバブル式の装置が有効です。
2: 予算
各回収装置には、導入費用やランニングコストが異なります。
予算に合わせて、最適な装置を選択する必要があります。
3: 設置スペース
回収装置を設置するスペースも考慮する必要があります。
コンパクトな装置を選ぶことで、設置スペースを節約できます。
4: メンテナンス性
装置のメンテナンスの容易さも重要なポイントです。
メンテナンスが容易な装置を選ぶことで、作業負担を軽減できます。
切削油スラッジを適切に回収・処理することで、環境問題への対策に貢献できます。
廃棄物量の削減、排水規制への適合、環境負荷の低減など、企業の社会的責任を果たす上で重要な役割を果たします。
スラッジの回収は、一見コストがかかるように思えますが、実は様々なコスト削減効果が期待できます。
例えば、クーラント液の交換頻度を減らすことで、クーラント液の購入コストを削減できます。
また、機械の故障を減らすことで、修理費用や生産停止による損失を削減できます。
さらに、適切なスラッジ処理により、廃棄物処理費用を削減することも可能です。
スラッジの蓄積は、機械の故障や生産停止につながるため、生産性を低下させる原因となります。
スラッジを適切に回収することで、機械のトラブルを減らし、生産性を向上させることができます。
また、作業環境の改善にもつながり、作業員のモチベーション向上にも貢献します。
今回は、切削油スラッジの発生メカニズム、問題点、回収方法、そして回収によるメリットについて解説しました。
切削油スラッジは、放置すると様々な問題を引き起こすため、適切な回収と処理が不可欠です。
工場の環境改善と効率化のためには、自社の状況に最適なスラッジ回収方法を選択し、積極的に取り組むことが重要です。
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