工場を管理する方にとって、切削油スラッジの問題は避けて通れない課題でしょう。
この厄介なスラッジはメンテナンスの手間を増やし、工作機械の性能を落とし、結果として生産性にも悪影響を及ぼします。
しかし、適切な回収方法と最適な装置の選定によって、これらの問題を効率的に解決し、コスト削減につなげられます。
この記事では、切削油スラッジの悪影響とその回収方法について解説していきます。
スラッジとは、工作機械から発生する微細な切粉のことで、切削油と結合して液面に浮かび上がったり、タンク底に沈殿したりします。
このスラッジがどのように機械の性能やメンテナンスに影響を与えるのか、なぜ定期的な回収が必要なのかを見ていきましょう。
1:液面に浮上するスラッジ
クーラント中の油に付着するスラッジは、液面に浮上しタンクの表面を覆います。
この状態で放置されるとクーラントの循環が妨げられ、工作機械の冷却効率が低下します。
2:液中を漂うスラッジ
稼働中の工作機械では、スラッジの多くが液中を漂います。
機械の流れが緩やかになるとスラッジは浮上または沈殿を始め、クーラントの品質を損なうことになります。
3:沈殿するスラッジ
特に問題となるのが、タンクの底に沈殿するスラッジです。
この沈殿スラッジは外から見えにくく放置されがちですが、時間と共に堆積し、タンクの容量を圧迫し、クーラントの流れを阻害します。
こうしたスラッジの蓄積は、工作機械の性能低下に直結し、最終的には製品の品質にも影響を与えかねません。
そのため、スラッジの効果的な管理と回収が、生産性の維持と向上に不可欠です。
スラッジを放置すると、一見目に見えない問題から、切削加工の精度に直接影響を及ぼす深刻な問題まで、多岐にわたる影響が生じます。
これらの問題を避けるためにも、スラッジの回収と管理に十分な注意を払う必要があります。
タンク内にスラッジが溜まることでクーラントの流れが阻害され、必要な量の清浄な切削液が工作物に適切に行き渡らなくなります。
これは加工精度の低下や表面粗度の悪化を招く主な要因です。
スラッジは切削液の腐敗を促し、結果としてフィルターの目詰まりやポンプの故障につながります。
これらの問題は、メンテナンスコストの増加や生産停止のリスクを伴います。
切削液の品質低下は工具の刃持ちにも影響を与え、頻繁な工具交換が必要になります。
これは、直接的なコスト増加だけでなく、生産性の低下をもたらします。
スラッジの蓄積が進むと、最終的には大規模な清掃が不可避になります。
こうなってしまうと大きな手間とコストがかかるだけではなく、生産を止めなければならない事態にまで至ることもあります。
以上のように、スラッジを適切に管理しないことは、工場運営の効率を著しく低下させる原因となります。
スラッジ問題を解決するためには、効果的な回収装置の選定が鍵となります。
回収装置は、移送機器・回収機器・浮上装置という3つの部分から構成されており、実際の使用状況に適したものを選ぶことが重要です。
ここでは、失敗しないための回収装置選定のポイントと、実際の選択基準について説明します。
1:回収場所
回収装置選定の際は、まず設置場所(現場)に応じて装置の種類を絞り込みます。
例えば、狭い範囲のスラッジ回収にはバキューム型や循環ろ過型、広大な範囲では水中ポンプとフロートを組み合わせた装置が適しています。
2:回収対象
スラッジの種類(浮上油や固形物)に応じても、適した装置が異なります。
種類によってはポンプが使用できないこともあるため、何をどこまで回収したいのか明確にしておく必要があります。
浮上油は比較的回収が容易ですが、溜まりやすい性質があるため、水流をつくる工夫が必要です。
スラッジのような固形物は、量と物性をふまえ、回収できるものを選びましょう。
3:運用面
装置の運用方法も重要な選定基準です。
回収装置を固定する常時設置型では、メンテナンススペースを十分に確保することが求められます。
また、一度設置してしまうとその後しばらく誰も見に来ないという状況が生まれやすいため、警報アラームやパトランプなどを設置して、緊急時に素早く対応できるようにしておくことが重要です。
移動型であればメンテナンススペースの考慮は必要ありませんが、ホースや電気配線の手間がかかります。
スラッジは工場運営の効率を著しく低下させる要因ですが、適切な管理と効果的な回収装置の活用によってこれらの問題を解決できます。
スラッジ問題に直面している方は、この記事で紹介したポイントを参考に、最適なスラッジ回収装置を選定し、生産性の向上とコスト削減を図るようにしましょう。
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